病原性大腸菌のタイプIIIエフェクターの機能解析


研究課題名 病原性大腸菌のタイプIIIエフェクターの機能解析
レコードタイプ 研究実績報告
報告年度 2005
研究期間 2004-2005
研究課題番号 16590370
研究代表者 阿部 章夫  (アベ アキオ) 北里大学・北里生命科学研究所・教授
研究代表者番号 50184205
研究機関 北里大学 研究機関番号:32607
研究分担者 桑江 朝臣  (クワエ アサオミ)  北里大学・北里生命科学研究所.  講師  (60337996)   
研究種目 基盤研究(C) 研究種目コード:320
審査区分 一般 区分コード:03
研究分野[3] 細菌学(含真菌学) 研究分野コード:6911
キーワード 腸管病原性大腸菌 / 腸管出血性大腸菌 / タイプIII分泌装置 / 下痢 / エフェクター / 微小管 / GEF-H1 / タイトジャンクション
研究概要 申請者らは培養細胞にEPECを感染させると微小管ネットワークの破壊とアクチン繊維束の形成が顕著に誘導されることを見いだし、これらの細胞骨格の再編成はタイプIII分泌装置に依存した現象であることを明らかにした。さらに、エフェクター欠損株を用いた感染実験の結果より、EspGとEspG2がアクチン繊維束の形成、ならびに微小管の破壊を誘導するエフェクターであることを明らかにした。EspG/EspG2は微小管構成因子であるチュブリンに直接結合することをGSTプルダウン法にて確認し、精製EspG/EspG2を用いたin vitro微小管再構成系の実験より、EspG/EspG2は微小管破壊を誘導することを明らかにした。
微小管に局在する宿主側因子のGEF-H1は通常不活化型であるが、微小管から解離すると活性化型に変換され、RhoAを活性化する。GEF-H1のドミナントネガティブ型を発現させた細胞にEPECを感染させるとアクチン繊維束の形成は完全に抑制され、GEF-H1 mRNAに対するsiRNAを用いた実験によっても同様な結果が得られた。以上の結果、EspG/EspG2は1)微小管ネットワークを破壊することでGEF-H1を活性化し、2)そのGEF活性によりRhoA-ROCKシグナル伝達系が活性化され、3)アクチン繊維束の形成を誘導することを明らかにした。GEF-H1は上記シグナル伝達系の活性化の他に、腸管上皮の細胞間透過性(paracellular permeability, PP)を制御していることが報告されている。そこでMDCK培養細胞にEspGならびにEspG2を発現させPPを測定したところ、低分子物質のPPが充進していることが明らかとなった。また、EspG/EspG2が誘導するPP元進においては、タイトジャンクション(TJ)の破壊は認められなかった。病原細菌によるTJ破壊が下痢発症の一機序であると推察されているが、本研究ではTJ破壊のルートとは別に、PP制御を撹乱するエフェクターが存在することが初めて示され、「PPの脱制御による下痢惹起」という新たなモデルを提唱することができた。
発表文献 Tomoaki Ogino:   "Assembly of the type III secretion apparatus of enteropathogenic Escherichia coli"  J.Bacteriology 188・8(In Press).   (2006)  
Asaomi Kuwae:   "BopC is a novel type III effector secreted by Bordetella bronchiseptica and has a critical role in type III-dependent necrotic cell death"  J.Biol.Chem. 281・10.  6589-6600  (2006)  
桑江 朝臣:   "細菌のIII型分泌装置とその機能"  化学療法の領域 21・5.  27-33  (2005)  
阿部章夫:   "腸管病原性大腸菌の感染機構"  実験医学 23・17.  2618-2624  (2005)  
Masami Miyake:   "Binding of intimin with Tir on the bacterial surface is prerequisite for the barrier disruption induced by enteropathogenic Escherichia coli"  BBRC 337・3.  922-927  (2005)  
阿部 章夫:   "グラム陰性菌の分泌装置"  Helicobacter Research 9・2.  2-9  (2005)  


 

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