血管性痴呆に伴う脳機能低下を防止する薬物の開発


研究課題名 血管性痴呆に伴う脳機能低下を防止する薬物の開発
レコードタイプ 研究実績報告
報告年度 1992
研究期間 1990-1992
研究課題番号 02557091
研究代表者 室田 誠逸  (ムロタ セイイツ) 東京医科歯科大学・医学部・教授
研究代表者番号 363150072989
研究機関 東京医科歯科大学 研究機関番号:12602
研究分担者 森田 育男(モリタ イクオ):東京医科歯科大学・歯学部・助教授 (501860100129)
池田 順一(イケダ ジユンイチ):東京医科歯科大学・歯学部・助手 (582760222882)
岩野 政雄(イワノ マサオ):三菱化成(株)・医薬開発部・部員
研究種目 試験研究(B) 研究種目コード:122
研究分野[1] 生物系薬学 研究分野コード:773
キーワード 神経細胞 / 海馬領域 / 過酸化脂質 / グルタチオン / グルタミン酸 / 神経細胞障害
研究概要 昨年度までに報告したごとく,我々は画像解析装置付き蛍光顕微鏡(ACAS570)を用いてglutamate neurotoxicityの評価系を確立した。本年度は同装置を用いて細胞障害に至るメカニズムを追い,治療の可能性を模策した。
痴呆の主要原因疾患である虚血性神経細胞障害,アルツハイマ-病においてNADPH diahorase(NADPH-α)活性を持つ神経細胞が抵抗性を持っていることが知られているが、その機序は不明である。これらの疾患では、glutamate neurotoxicityの関与が示唆されているが、近年になってNADPH-α活性は一酸化窒素合成酵素によるものであることが明らかにされたため、glutamate neurotoxicityに対して一酸化窒素が何らかの影響を持っているのではないかと推測されるに至った。そこで、我々はグルタメ-トによる細胞死の直接原因であるとされる細胞内カルシウムの上昇をAEAS570を用いて測定した。カルシウムの濃度はその変化に鋭敏に反応するとされる、蛍光色素fluo3を用いた。その結果、予想通りNADPH-α活性を持つ神経細胞ではグルタメ-トによる細胞内カルシウムの上昇が抑制されていることが示された。さらに、この抑制効果が内因性一酸化窒素に由来するものかを調べる目的で、一酸化窒素合成酵素の阻害剤であるNMMA(N-methyl-L-arginine)を投与したところ、この効果は消失した。
以上から、NADPH-α陽性細胞では自ら産生する一酸化窒素を用いてグルタナ-ト受容体活性化に伴う細胞内カルシウムの上昇を抑制していると考えられた。一酸化窒素と同様の作用機序を持つ薬剤は既に心血管系で臨床上用いられているが、神経疾患への応用の可能性が示された。
発表文献 L.MA,Y.ISHIZAKI I.MORITA and S.MUROTA: "Presence of nitric synthase activity in the neyrons of the rat embryonal cerebrum" NEUROSCI.LETTERS,. 132. 23-25 (1991)
Y.ISHIZAKI and S.MUROTA: "Arachidonic acid metabolism in cultrued astrocytes;presence of 12-lipoxygenase activity in the intact cells" NEUROSCI.LETTERS,. 131. 149-152 (1991)
S.YOSHIMOTO,Y.ISHIZAKI A.MORI,T.SASAKI K.TAKAKURA and S.MUROTA: "The role of cerebral microvessel endothelium in regulat-ion of cerebral blood flow through production of endothelin-1" J.CARDIOVAS.PHARMAC.,. 17. S259-262 (1991)
Y.YOSHIMOTO,Y.ISHIZAKI T.SASAKI and S.MUROTA: "Effect of carbon dioxide and oxygen on endothelian production by cultured cerebral endothelial cells" STROKE,. 22. 378-383 (1991)
Y.ISHIZAKI,L.MA,I.MORITA and S.MUROTA: "Astrocytes are responsive to endothelium-derived relax-ing factor(EDRF)." NEUROSCI.LETTERS,. 125. 29-30 (1991)
M.IKEDA,I.MORITA,S.MUROTA,F.SEKIGUCHI,and T.MIYATAKE: "Cerebellar nitric oxide synthase activity is reduced in neurins and Purkinje cell degeneration mutants but not in climbing fiver-lesioned mice" NEUROSCI.LETTERS,.
I.MORITA,H.OCHI and S.MUROTA: "OXIDATIVE DAMAGE AND REPAIR CHEMICAL,BIOLOGY AND MEDICAL ASPECTS,(K.J.DAVIES,ed)" Pergamon press,New York., 899 (1991)
S,MUROTA,H,FUJITA and I.MORITA: "INTERACTABLE VASCULITIS SYNDROME,(T.TANABE,ed.)" Hokkaido Univ.Press,Sapporp,284 (1993)


 

Copyright 2007 All Rights Reserved ja-tec.com