| 研究課題名 | 野生新世界ザル集団における糞からの赤緑視物質遺伝子多型の解析による適応進化の研究 |
| レコードタイプ | 研究実績報告 |
| 報告年度 | 2005 |
| 研究期間 | 2003-2005 |
| 研究課題番号 | 03J11926 |
| 研究代表者 | 平松 千尋 (ヒラマツ チヒロ) 東京大学・大学院・新領域創成科学研究科・特別研究員(DC1) |
| 研究機関 | 東京大学 研究機関番号:12601 |
| 研究種目 | 特別研究員奨励費 研究種目コード:500 |
| 審査区分 | 国内 区分コード:21 |
| 研究分野[2] | 人類学(含生理人類学) 研究分野コード:361 |
| キーワード | 色覚多様性 / 新世界ザル / 遺伝子頻度 / 野生集団 / 非侵襲性遺伝子解析 |
| 研究概要 | 新世界ザルは赤-緑視物質遺伝子を多型を有し同一種内に2色型と3色型色覚個体が混在するとされているが自然集団における多型の有無および頻度の知見は乏しかった。前年度までにコスタリカ共和国サンタロサ国立公園に生息する野生オマキザル(Cebus capucinus)2群とクモザル(Ateles geoffroyi)1群を対象に糞を採集し赤-緑視物質遺伝子型の判定を行い色覚の多様性が自然集団に実在することを明らかにした。オマキザルでは3つの対立遺伝子が、クモザルでは2つの対立遺伝子が確認された。各対立遺伝子より視物質を再構成し吸収波長特性を測定した結果、オマキザルはそれぞれ532nm、543nm、561nmに、クモザルでは538nmと553nmに最大吸収波長(λmax)を有することが明らかとなった。また全群において長波長側にλmaxを持つ対立遺伝子の頻度が有意に高かった。さらにクモザルの2つの対立遺伝子はこれまでに報告されていないものであり、他の新世界ザルの赤-緑視物質とは異なる吸収波長制御の分子メカニズムを持つことが明らかになった。 本年度は色覚型が判定されたクモザル1群約20頭を対象とし各個体の採食行動を詳細に観察した。同時に採食物の反射光および環境光の測定を調査地にて行い、再構成実験で得られた視物質の吸収波長カーブを用いて各視物質がある光環境下である対象物を見るときに得る光量を算出しクモザルの色覚をモデル化した。その結果、クモザルが主に採食を行う葉で覆われた木の下では色みによる果実と葉、熟した果実と未熟な果実の判別が難しくなることが明らかとなった。また、熟した果実と熟していない果実の色みによるコントラストと明度の違いによるコントラストを定量化し採食行動の観察結果との相関を調べたところ、明度によるコントラストが色みよりも果実を見分けるのに重要な要素であることが明らかとなった。 |
| 発表文献 | C.Hiramatsu, T.Tsutsui, Y.Matsumoto, F.Aureli, L.M.Fedugan, S.Kawamura:
"Color vision polymorphism in wild capuchins(Cebus capucinus) and spider monkeys (Ateles geoffroyi)in Costa Rica."
American Journal of Primatology 67.
447-461
(2005)
A.Saito, A.Mikami, S.Kawamura, Y.Ueno, C.Hiramatsu, K.A.Widayati, B.Suryobroto, M.Teramoto, Y.Mori, K.Nagano, K.Fujita, H.Kuroshima, T.Hasegawa: "Advantage of Dichromats Over Trichromats in Discrimination of Color-Camouflaged Stimuli in Non-Human Primates." American Journal of Primatology 67. 425-436 (2005) A.Saito, S.Kawamura, A.Mikami, Y.Ueno, C.Hiramatsu, K.Koida, K.Fujita, H.Kuroshima, T.Hasegawa: "Demonstration of Genotype-Phenotype Correlation in Polymorphic Color Vision of a Non-Callitrichine New World Monkey, Capuchin Cebus apella" American Journal of Primatology 67. 471-485 (2005) |