ナノ力学プローブ顕微鏡による結合組織の形成過程における力学的制御機構の解明


研究課題名 ナノ力学プローブ顕微鏡による結合組織の形成過程における力学的制御機構の解明
レコードタイプ 研究実績報告
報告年度 2004
研究期間 2002-2004
研究課題番号 14780536
研究代表者 芳賀 永  (ハガ ヒサシ) 北海道大学・大学院・理学研究科・助教授
研究代表者番号 00292045
研究機関 北海道大学 研究機関番号:10101
研究種目 若手研究(B) 研究種目コード:260
研究分野[3] 細胞生物学 研究分野コード:5805
キーワード 走査型プローブ顕微鏡 / 結合組織 / 上皮細胞 / コラーゲンゲル / 細胞運動 / 組織形成
研究概要 前年度に開発した広域走査が可能な新型の走査型プローブ顕微鏡(WR-SPM)を用いて、上皮細胞が増殖し上皮組織を形成するまでの過程を力学的な見地から観察を行った。これまで市販のSPMでは100ミクロン程度の走査範囲が限界であったが、新たに開発したWR-SPMでは400ミクロンのエリアを走査することが可能となっている。現在までに、数百の細胞からなる上皮細胞のコロニー全体に対する弾性率分布の経時変化測定に成功している。
さらに、一細胞レベルにおける細胞内張力のダイナミクスについてのSPM観察を行った。その結果、ストレスファイバーを構成するII型ミオシン調節軽鎖(MRLC)のリン酸化が細胞内張力の発生起源であり、伸長もしくは収縮といった外力が細胞に加わっても、細胞はMRLCのリン酸化レベルを変化させることで、細胞の形態や細胞内張力を安定化させていることが明らかとなった。
また、保温装置付きの位相差顕微鏡を用いて、コラーゲンゲル基盤上で培養した上皮細胞が上皮コロニーを形成しながら集団で運動する過程を長時間観察した。その結果、(1)コラーゲン線維の配向性が上皮細胞の集団運動の方向を決定する。(2)ゲル基盤上の上皮細胞には、amoeboid型運動をするfollower細胞と、mesenchymal型運動をするleader細胞が存在し、それらの細胞の役割分担が空間的に制御されることで、上皮細胞は集団で一定方向に効率良く運動し、結合組織の形成を行う。ことなどが明らかとなった。
以上、SPMで得られた結果と位相差顕微鏡による長時間観察の結果を比較すると、上皮細胞は組織を形成する過程において上皮コロニー周辺部のleader細胞が牽引力を発生し、その力がコロニー中心部に伝わることでコロニー全体が協調して一定方向に運動することが明らかとなった。
発表文献 Masafumi Nagayama:   "Contribution of Cellular Contractility to Spatial and Temporal Variations in Cellular Stiffness"  Exp.Cell.Res. 300.  396-405  (2004)  
Takeomi Mizutani:   "Cellular Stiffness Response to External Deformation : Tensional Homeostasis in a Single Fibroblast"  Cell Motil.Cytoskeleton 52.  242-248  (2004)  
Hisashi Haga:   "Collective Movement of Epithelial Cells on a Collagen Gel Substrate"  Biophys.J. 88.  2250-2256  (2005)  


 

Copyright 2007 All Rights Reserved ja-tec.com