ヒトデにおける個体発生と系統との関係:下等な群、スナヒトデ属を用いての解析


研究課題名 ヒトデにおける個体発生と系統との関係:下等な群、スナヒトデ属を用いての解析
レコードタイプ 研究実績報告
報告年度 1992
研究期間 1991-1992
研究課題番号 03640627
研究代表者 小松 美英子  (コマツ ミエコ) 富山大学・理学部・助教授
研究代表者番号 482690089839
研究機関 富山大学 研究機関番号:13201
研究種目 一般研究(C) 研究種目コード:090
研究分野[1] 動物形態・分類学 研究分野コード:456
キーワード ヒトデ / 個体発生と系統 / スナヒトデ属 / 分類 / ビピンナリア幼生 / 変態 / 非ブラキオラリア型の発生
研究概要 ヤツデスヒトデ(Luidia maculata)を主な材料として,変態を通じての発生を明らかにし,スナヒトデ属における個体発生と系統との関係を解析することを中心に研究した.
1.ヤツデスナヒトデの発生:本種において1-メチルアデニンを用いて人工受精を行い,また幼生に餌の藻類を与えて温度調節・撹拌装置付きの水槽で飼育し,卵から稚ヒトデまでの発生の全過程を観察した.卵の直径は170μmで,卵割は全等割・放射型である.室温約20度で受精の1時間後に第1卵割が起こる.胚は皺胞胚期経て,受精の2日後にはビピンナリア幼生になる.成長した幼生は5対のビピンナリア腕を有し,体長が2.5mmである.その後ヒトデ原基が形成され,幼生器官は消失する.受精の2ケ月後に変態が完了し,稚ヒトデは直径が0.7mmで,9本の腕を有する.なお,この成果については投稿準備中である
2.個体発生と系統との関係:本研究により以下の点について,本属の発生は系統学的に意義があることが示唆された.(1)成体の分類学的位置と幼生の形態には系統学的に関連がある;本種のビピンナリアが2.5mmで腕が5対であった.このことは,本属の幼生は大型である定説に対して必ずしもそうではないという今までの研究代表者の反論を支持するものである.また,本種が本属で分類学的に下等であることにより,高等な種は大型の複雑な形の幼生をもつが,下等の種の幼生は小型で単純な形態である. (2)ヒトデの発生は系統学的に重要な特徴になりえる;本種の幼生はブラキオラリアに発達することなく変態することにより,本種の発生は非ブラキオラリア型であることが明らかになった.この観察結果は,非ブラキオラリア発生は分類学的に下等なスナヒトデ属とモミジガイ属のヒトデに限られることを証明するものである.
発表文献 Komatsu,M.: "Development of the bittle star,Ophiplocus japonica H.L.Clark.I" Zoological Science. 10. (1993)
Chia,F-S.: "Sea star development" Oceanography and Marine Biology:An Annual Review,Ansell,A.D.(ed.),Aberdeen Univ.Press,Scotland. 31. (1993)
Ikegami,S.: "Immunological survey of planktonic embryos and larvae of the starfish A.pectinifera,obtained from the sea,using a monoclonal antibody directed against egg polypeptides" Biol.Bull.mar.biol.Lab.,Woods Hole. 181. 95-103 (1991)
Komatsu,M.: "Scanning electron microscopic observations on the wrinkled blastula of the sea star,Asterina minor Hayashi" Zoological Science. 7. 51-56 (1991)


 

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