脳の性分化を規定する分子機構の解析


研究課題名 脳の性分化を規定する分子機構の解析
レコードタイプ 研究実績報告
報告年度 2004
研究期間 2002-2005
研究課題番号 02J07440
研究代表者 松本 高広  (マツモト タカヒロ) 東京大学・分子細胞生物学研究所・特別研究員(PD)
研究機関 東京大学 研究機関番号:12601
研究種目 特別研究員奨励費 研究種目コード:500
審査区分 国内 区分コード:21
研究分野[2] 生物形態・構造 研究分野コード:354
キーワード 核内受容体 / アンドロゲン受容体 / エストロゲン受容体 / 性差 / 脳神経 / ノックアウトマウス / 記憶 / 学習
研究概要 高次情報中枢である脳には雌雄で様々な差異が存在するが、この脳の性差における性ホルモン受容体の機能は明確ではない。ヒトにおいて空間認知能力等に性差が存在し、男性優位であることが知られており、男性ホルモンであるアンドロゲンが記憶・学習能の性差形成に関与するものと考えられる。このアンドロゲンの作用はリガンド依存性転写制御因子である核内受容体を介した、標的遺伝子群の発現調節により発揮される。主要アンドロゲンであるテストステロンは神経細胞において、直接アンドロゲンとしてアンドロゲン受容体(AR)を介しで作用する一方、芳香化酵素によりエストロゲンに転換されて後、二種のエストロゲン受容体(ERα、ERβ)を介しても作用する。すなわち、テストステロンの効果は男性ホルモンとしての効果と、女性ホルモンとしての効果の2面性をもち、これら両者のレセプターのいずれか,または2者または3者の協調的な機能により発揮されると考えられる。そこで本研究ではAR、ERα、ERβそれぞれのsingle KOマウス(ARKO、ERαKO、ERβKO)、両者の2重KOマウス(DKO)ならびに3重KOマウス(TKO)を作出し、記憶・学習における機能解析を行った。その結果、TKO雄マウスにおいてのみに恐怖条件付けテストの成績に低下が観察された。一方、モリス水迷路テストの成績には全ての群間で顕著な差異は観察されなかった。この結果はAR、ERα、ERβは3者の協調的な機能を介して記憶・学習を制御していること、3者の作用にはredundancyがある可能性を強く示唆している。このように、性ホルモン作用を完全に遮断したTKOマウスを作出することにより、記憶・学習といった高次神経機能における性ホルモン受容体の重要性が明らかとなった。
発表文献 Kato S.:   "Function of androgen receptor in gene regulation"  Journal of Steroid Biochemistry & Molecular Biology 89-90.  627-633  (2004)  
Yamada T.:   "SRC-1 is necessary for skeletal responses to sex hormones in both males and females"  Journal of Bone and Mineral Research 19.  1452-1461  (2004)  
松本高広:   "アンドロゲンレセプターの生体内機能"  Annual Review 2005 腎臓.  181-187  (2005)  


 

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