自己増殖する人工二分子膜の創出による「生命の起源」問題へのアプローチ


研究課題名 自己増殖する人工二分子膜の創出による「生命の起源」問題へのアプローチ
レコードタイプ 研究実績報告
報告年度 2003
研究期間 2002-2003
研究課題番号 14654141
研究代表者 村田 滋  (ムラタ,シゲル) 東京大学・大学院・総合文化研究科・助教授
研究代表者番号 40192447
研究機関 東京大学 研究機関番号:12601
研究種目 萌芽研究 研究種目コード:401
研究分野[3] 合成化学 研究分野コード:4702
キーワード 酸化的縮合反応 / チオールエステル / ミセル / 脂質二分子膜 / チアゾリウム塩
研究概要 本研究の目的である、生命の究極的なモデルとなるような自己増殖する機能を有する脂質二分子膜系を構築するために、昨年度の有機溶媒中における研究により探索された縮合反応を、水中に構築された疎水性環境を反応場として進行させることを試みた。すなわち、ベンズアルデヒド誘導体とオクタンチオールから、触媒として長鎖アルキル基が置換したチアゾリウム塩を用い、アゾベンゼンを酸化剤とする酸化的縮合反応によって相当するチオールエステルが生成する反応について、この反応を水中で臭化セチルトリメチルアンモニウムが形成するミセル、あるいは臭化ジメチルジパルミチルアンモニウムが形成する二分子膜中で行わせた。この結果、反応基質、および触媒は水中に作られた疎水性環境に取り込まれて均一系を形成し、目的とする酸化的縮合反応が比較的効率よく進行することが判明した。副生成物として、アゾベンゼン還元体との縮合反応生成物が得られた。詳細な条件検討により、この反応の速度や生成物分布は、水溶液のpHや、ミセルあるいはベシクル構成分子の構造および濃度に著しく依存することが明らかになった。反応速度のpH依存性は、触媒となるチアゾリウム塩の解離平衡のpH依存性によって説明される。この反応は、生体細胞内で営まれているチアミンピロリン酸を触媒とするピルビン酸からアセチル-CoAが生成する反応と極めて類似しており、生体内の縮合反応のモデルとなる反応を生体環境に近い水中で行わせることができた意義は大きい。この反応を、生成するチオールエステルが両親媒性となる系に発展させることにより、水中でそれ自身が形成する二分子膜を反応場として酸化的縮合反応が進行する反応系、すなわち本研究が目的とする自己増殖機能を有する二分子膜系ができるものと期待される。
発表文献 Asako Yoshida:   "Electron Transport across Vesicle Bilayers Sensitized by Pyrenes"  Chemistry Letters 32巻1号.  68-69  (2003)  


 

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