時間分解誘電率測定による励起エネルギ-緩和過程観測の試み


研究課題名 時間分解誘電率測定による励起エネルギ-緩和過程観測の試み
レコードタイプ 研究実績報告
報告年度 1995
研究期間 1995-1995
研究課題番号 07804035
研究代表者 嶋森 洋  (シマモリ ヒロシ) 福井工業大学・工学部・教授
研究代表者番号 80139815
研究機関 福井工業大学 研究機関番号:33401
研究種目 一般研究(C) 研究種目コード:090
研究分野[2] 物理化学 研究分野コード:341
キーワード マイクロ波 / 誘電率 / 無輻射遷移 / アントラセン / レ-ザ-フラッシュホトリシス / 位相 / 励起状態
研究概要 本研究は、マイクロ波の特性を利用して、非極性溶媒中に生じた短寿命活性種がその過剰エネルギ-を無輻射過程で放出する過程を媒質の誘電率変化として検出しようとする初めての試みである。本年度は実験装置の製作から着手した。主要実験装置購入予定のメ-カ-が倒産したため、新規に非専門メ-カ-を選んだが、仕様の改良などに時間が割かれ、当初の計画が大幅に遅れた。まずXバンドマイクロ波回路における位相変化用の導波管回路の較正のため、励起の際の極性変化の大きいミヒラ-ケトンおよびベンジルを用いてYAGレ-ザ-355nm励起時の信号振幅のバイアス位相依存性を調べた結果、位相とともに誘電吸収信号と誘電率信号とを合成したものが得られ、とくにマイクロ波誘電損失を測定する位相に対して90度ずれた位置での信号の誘電率変化部分は相対的に小さく、正確な測定は容易でないことがわかった。そこで、励起により極性変化が起こらないと考えられるアントラセンについて調べた。信号位相と同位相のバイアスでは信号は検出されないが、90度ずれた位相では約100-200マイクロ秒にわたる緩やかな増大が見られた。この増大の速度の逆数は、知られているアントラセンの励起三重項状態の寿命160マイクロ秒とほぼ一致することから、明らかにアントラセンの励起三重項状態の無輻射遷移によるエネルギ-放出による媒体密度低下に基づく誘電率の減少を観測していると結論された。したがって、当初の目的である新しい実験法の開発はその目的が果たされたといえる。今後、マイクロ波空洞からの反射波を一部取り出しマイクロ波発振電源にフィ-ドバックするAFC回路による発振周波数のドリフト防止、および検出回路をバランストミキサ-型に改良して検出の高感度化をはかれば、有用な実験法として確立する見通しが立った。


 

Copyright 2007 All Rights Reserved ja-tec.com