ピグーの理想的功利主義の構造と厚生経済学


研究課題名 ピグーの理想的功利主義の構造と厚生経済学
レコードタイプ 研究実績報告
報告年度 2005
研究期間 2003-2005
研究課題番号 03J08453
研究代表者 山崎 聡  (ヤマザキ サトシ) 一橋大学・大学院・経済学研究科・特別研究員(PD)
研究機関 一橋大学 研究機関番号:12613
研究種目 特別研究員奨励費 研究種目コード:500
審査区分 国内 区分コード:21
研究分野[2] 経済理論 研究分野コード:271
キーワード 厚生経済学 / 功利主義 / 優生学
研究概要 平成17年度は,ピグーと優生思想との問題を取り上げました.19世紀の後半に誕生し,20世紀の幕開けと共に興隆した優生学は,当時のイギリス思想界において一大ブームとなった思想です.シュンペーターの見解によれば,生物学的研究の結論を社会現象に応用することは,この期間の思想の中にあまりにも大きく表出していたにもかかわらず,経済学者たちはこれらの問題に対し,当然に値する程の注意を全く払いえなかったということです.そして,シュンペーターは,優生学に対して多くの心労を重ねた唯一の経済理論家はピグーのみであると述べています.「唯一」というのは少々極端かもしれませんが,少なくとも,ピグーにおける優生学の論点を追究することは学史的観点からいっても意義あることだと思われます.ピグーには,優生学の問題を扱った文献が幾つか存在し,また何れも従来では殆ど触れられていないものであったので,これらを検討することに努めました.広い観点から見た場合,当時のイギリスの福祉政策と優生思想との確執が大きな論点となります.特に,優生学の旗手であるピアソンなどは,貧者や弱者に加担する福祉・慈善政策が,より不適な者の生活水準を向上させ,国家的な衰退を招いていると厳しく主張していました.こういった優生学的主張は,貧者への分配を改善しようとするピグーの厚生経済学の精神とは真っ向から対立するものでした.ですから,ピグーが優生学者たちの批判をどのように受け止めて厚生経済学における自説を展開したかを明らかにすることが非常に重要になると思われたので,詳細に考察を行いました.この考察において欠かせないのが,先に述べた倫理学の知識となります.何故なら,優生学を扱った論文において,ピグーは倫理学的な観点から問題を分析しているからです.優生学・生物学という科学と倫理学とがピグーにおいてどのように論じられているかという点も分析しました.
発表文献 山崎 聡:   "ピグーにおける正義"  経済学史研究 47-1.  49-64  (2005)  


 

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