| 研究課題名 | 金融取引のグローバル化に対応した法制度設計の基本原理に関する研究 |
| レコードタイプ | 研究実績報告 |
| 報告年度 | 2003 |
| 研究期間 | 2000-2003 |
| 研究課題番号 | 12620036 |
| 研究代表者 | 野村 美明 (ノムラ,ヨシアキ) 大阪大学・大学院・国際公共政策研究科・教授 |
| 研究代表者番号 | 20144420 |
| 研究機関 | 大阪大学 研究機関番号:14401 |
| 研究種目 | 基盤研究(C) 研究種目コード:320 |
| 審査区分 | 一般 区分コード:03 |
| 研究分野[3] | 国際法学 研究分野コード:3403 |
| キーワード | 国際金融取引 / 国際契約 / 国際的社債発行 / 絶対的強行法規 / 相対的強行法規 / 公序 / 法人格否認の準拠法 / 法規からのアプローチ |
| 研究概要 | この研究は、グローバルな金融取引を安全かつ効率的に行うためには、どのような法的インフラをどのようた整備すべきかについて、制度設計のための基本原理を明らかにすることを目的としている。 平成15年度は、私法的対応方法を事実からのアプローチと法律からのアプローチの観点から理論的に分析した。事実からのアプローチとは、伝統的な国際私法の方法論である。法律からのアプローチとは、絶対的強行法規または国際的強行法規と呼ばれる一群の規範に関する理論である。 第1に、後掲「国際的社債関係と強行法規の適用理論」では、同じ国際的社債関係についても、事実からのアプローチをとるべき場合と、法律からのアプローチがふさわしい場合があることを明らかにした。社債権者集会のような私的自治でカバーできるような法律関係は前者に属する。これに対して、私的自律に任せることができない公共政策の領域においては、後者の方法によって、伝統的な国際私法規則が指定する準拠法は無視しても、当該国際的法律関係を強行的に規律するべきである。 第2に、事実からのアプローチと法律からのアプローチは二律排反であるような説明方法がされることがあるが、この論稿ではそうではない場合を明らかにした。すなわち、従来の説明方法では、法廷地の絶対的強行法規は、法律からのアプローチによればその法規の国際適用範囲に含まれない場合には、事実からのアプローチによれば当該法律関係を規律する準拠法が日本法であるときでも、適用されないように見える。しかし、この場合でもその絶対的強行法規は日本の法秩序の一部をなす一般的な強行法規(相対的強行法規)として適用されると考えるべきである。 第3に、後掲海外子会社の法人格に関して、従来の見解は「法人格否認の準拠法」という問題設定の元に、その準拠法をどう決めるかについては種々の立場が対立しているにもかかわらず、事実からのアプローチをとることでは一致しているように見えるが、この点に疑問を呈している。すなわち、本年度の研究成果によれば、日本の公共政策として法人格否認の法理で私人間の契約の効力を否定しても子会社の契約責任を親会社に帰属させることが強く要請される場合には、法律からのアプローチを採用し、法人格否認の法理を契約準拠法のいかんに関わらず適用されるべき法任地の強行法規としてその適用を説明すべきである。 |
| 発表文献 | 野村 美明:
"国際的社債関係と強行法規の適用理論"
国際法外交雑誌 第102巻3号.
59-91
(2003)
野村 美明: "内国法人の海外子会社間の債権現先取引契約について、契約準拠法の日本法により、子会社の法人格は形骸にすぎず、違法な手段のためにペーパーカンパニーとして設立されたとして法人格を否認し、右内国法人は契約上の責任を免れないとした例" 私法判例リマークス 27号. 131-134 (2003) |