戦争法秩序の規範構造


研究課題名 戦争法秩序の規範構造
レコードタイプ 研究実績報告
報告年度 2004
研究期間 2003-2004
研究課題番号 03J10830
研究代表者 黒崎 将広  (クロサキ マサヒロ) 東京大学・大学院・総合文化研究科・特別研究員(DC2)
研究機関 東京大学 研究機関番号:12601
研究種目 特別研究員奨励費 研究種目コード:500
審査区分 国内 区分コード:21
研究分野[2] 国際法学 研究分野コード:263
キーワード 国際法 / 戦争法
研究概要 本研究は、戦争法がいかなる構造の下で規範的に機能し得るのかを、歴史的展開に即して検討することを目的としている。本年度は、戦争法の中核的問題である戦争犯罪処罰制度における非戦闘員の敵対行為の法的評価に焦点を絞り、こうした本研究の課題に取り組んだ。
従来の戦争法違反者たる戦争犯罪人の処罰について、慣習国際法は、当該違反者を補足した交戦国に処罰権を認めるにとどまっていた。したがって、たとえ補足された者が戦争法違反者であっても、結局は各国の(軍事)刑法上の国内犯罪人として処罰されたのである。この意味において、少なくとも従来の戦争犯罪処罰制度の側面において、戦争法秩序は各国国内法に基づく国内法秩序に基盤を有していたと言える。こうした構造を背景に、非戦闘員の敵対行為に関するこれまでの学説も、当該行為を戦争法上禁止されるか否かといった国際法秩序の平面で捉えることなく、もっぱら交戦国の国内(刑法)秩序の枠組みで捉えていた。
しかしながら、戦後のニュールンベルクおよび東京裁判以降、国際法違反者は、各国の国内裁判所での処罰対象にとどまらず、国際裁判所での処罰対象となり得る。つまり、戦後の戦争法秩序は、国際刑事裁判所を中心とする国際犯罪処罰制度に象徴されるように、各国の国内法秩序-主権国家体系を超えた規範構造を有するに至ったのである。このことに鑑みれば、非戦闘員の敵対行為をこれまで国際法の平面ではなくもっぱら国内刑法の平面でとらえてきたこれまでの一般的学説は再構成を迫られていると言えよう。
では、非戦闘員の敵対行為は、国際法上どのように評価され得るのか。本年度は、オランダ・ハーグおよびスイス・ジュネーヴで一次資料の収集を行い検証を進めた結果、当該行為が戦争法上禁止される背信行為であることがわかった。したがって、上述した国内刑法秩序を基盤とした戦争法秩序から国際犯罪処罰制度を基礎とする戦争法秩序に転換した今日において、戦争法(戦時国際法)違反であることは、国内犯罪人を超えて国際犯罪人となり得る。


 

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