中国法典形成史――国家法の非国家的形成に関する通史的な考証


研究課題名 中国法典形成史――国家法の非国家的形成に関する通史的な考証
レコードタイプ 研究実績報告
報告年度 2003
研究期間 2002-2003
研究課題番号 14720002
研究代表者 陶安 あんど  (スエヤス,アンド) 東京外国語大学・アジア・アフリカ言語文化研究所・助手
研究代表者番号 80334449
研究機関 東京外国語大学 研究機関番号:12603
研究種目 若手研究(B) 研究種目コード:260
研究分野[3] 基礎法学 研究分野コード:3401
キーワード 法典編纂 / 明清 / 会典 / 唐令 / 天聖令 / 刺令格式 / 行政法典 / 歴史法学
研究概要 従来の法典編纂史研究においては、明清時代について法制関連の主たる編纂物を「国政要覧」として「法典」と区別し、研究対象から除外する傾向がある。そのために、高度に法化されていた行政の分野が法令ではなく「慣例」によって支配されている、という歪んだ結論が導き出される。
実際には、中国においては、主権者が頻りに法令集を編集する努力を繰り返している。為政者たちは、諸々の法規範が、時間の経過や職掌の専門化に伴い断片化される実態を恐れて不断に諸法規範が全貌できる体制を整える努力を続ける。その際、法令間の矛盾を解決する試みもなされる。つまり、法令集の中には、某法令はすでに現行法として用いてはいけない等の注記が施される。現存している法令集の中では、明清の会典の他に、宋代の天聖令にもこの現象は見られる。
このような記述は、すでに単純な法令集の編集という範囲を超える。それは既存の法規範に対して効力を持ち続けるものと、失効するものを選別する作業である。同様な作業を該当する全ての法規範について実施し、効力を持ち続ける規範のみを整理して列記すれば、そこに近代の法実証主義者が夢見る総合的な法典が成立する。この仮想的「法典」と比べれば、中国における法令集の編纂は確かに中途半端に終わっていると言えよう。しかし、法源体系の無欠缺性という十九世紀的な幻想から思考を解放さえすれば、行政法を含んだ総合的な法令集は、ほとんどの国で統一的な行政法典の成立を見なかった近代ヨーロッパを大きく凌駕していることを認めざるを得ない。
本研究においては、勅撰の法令集に関する新しい所見に基づき、唐代の「令」、「格」及び宋代の「勅」(「勅令格式」を含む)を再検討したところ、それらも勅撰の法令集に過ぎないことが確認された。この発見によって今後中国の法典編纂史が「仮想の法典」の束縛から解放され大きく塗り替えられることが期待される。
発表文献 陶安あんど:   "漢魏律目考"  法制史研究 52.  1-37  (2003)  
陶安あんど:   "仮想の西洋法を超えて--不平等条約が中国法研究に残した傷痕"  創文 第456号.  5-9  (2003)  


 

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