日本近代家族法における「家」と家父長権の史的考察


研究課題名 日本近代家族法における「家」と家父長権の史的考察
レコードタイプ 研究実績報告
報告年度 2005
研究期間 2004-2006
研究課題番号 04J04069
研究代表者 宇野 文重  (ウノ フミエ) 一橋大学・大学院・法学研究科・特別研究員(PD)
研究機関 一橋大学 研究機関番号:12613
研究種目 特別研究員奨励費 研究種目コード:500
審査区分 国内 区分コード:21
研究分野[3] 基礎法学 研究分野コード:3401
キーワード 「家」 / 戸主権 / 家父長権 / 親権(自然後見) / 親族会 / 明治民法 / 富井政章 / 梅謙次郎
研究概要 17年度は、以下の二点について、研究を遂行した。
1、「親族会」を素材とした明治前期司法上の「家」原理の考察と成果発表
明治前期下級裁判所の親族会に関する裁判約130例を分析し、九州家族研究会で公表した。具体的には、未成年戸主に付される後見人に対する罷免請求事件を中心に検討を加えた。結論として(1)最も典型的な紛争である未成年者の母(養継母を含む)と親族との対立事例では、裁判所は「自然後見人」であり子の監護者である母の権利を(時に亡父の遺志に優先して)保護する傾向にある(2)母がある場合の第三者の後見人選任は、母との「委任契約」とされ、解任が容認され易い側面がある(3)複数の親族からの罷免請求には実質的解任理由を要する(4)<夫婦(父母)-子>単位の保護に注視する一方で、戸籍上他家にある子の肉親・監護者は、戸籍内の後見人・親族に比して法的に劣位に置かれる等である。今後、親権と「家」の関係、親族会の構成や機能についてもより詳細な分析を進めたい。
2、明治民法起草委員の「家」理解の研究と成果発表
明治民法起草委員の富井政章と梅謙次郎の「家」と戸主権の理解につき研究を進め、成果を学会(法制史学会東京部会)等で示した。両者の議論の相違点として、(1)富井は夫婦とその未成年子からなる生活共同体に合致する「家」を構想したが、梅は戸主の支配する「戸籍上の家」と夫権・父権の支配する「事実上の家」を明確に区別し、戸主権に家長権としての絶対性を付与した(2)富井が戸主権の行使に対して裁判所の関与を積極的に認めようとしたのに対し、梅は戸主権の絶対性を主張して裁判所の関与を一切否定したこと、この点から両者の「裁判官」観、「法典」観の相違も看取できる等である。今後は、民法施行後の家族法判例上の「家」について考察を進めたい。
発表文献 宇野 文重:   "書評/村上一博氏・著『日本近代婚姻法史論』"  法制史研究 54号.  145-150  (2006)  


 

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