構築主義の家族法理論--「児童虐待」を手がかりとして--


研究課題名 構築主義の家族法理論--「児童虐待」を手がかりとして--
レコードタイプ 研究実績報告
報告年度 2005
研究期間 2005-2007
研究課題番号 05J10417
研究代表者 原田 綾子  (ハラダ アヤコ) 東京大学・社会科学研究所・特別研究員(PD)
研究機関 東京大学 研究機関番号:12601
研究種目 特別研究員奨励費 研究種目コード:500
審査区分 国内 区分コード:21
研究分野[3] 基礎法学 研究分野コード:3401
キーワード 児童虐待 / 家族法 / 法社会学
研究概要 1.本年度は、日本における児童虐待とその対応の近時の動向を、全国数カ所の児童相談所児童福祉司へのインタビューを通して検討した。当初は家裁の調査も予定していたが、「虐待」を最初に認定し、対処方針を決めるという児相、とくに現場の児童福祉司の役割の重要性から、本年度は児童福祉司に調査対象を絞った。
2.調査によると、児童相談所は、問題のある子育てについて、以前よりも介入的な対応を行うようになっている。虐待死事件での児相の「弱腰」が糾弾され、社会の圧力によって子どもの安全確保という役割を否応なく引き受けざるを得なくなったためである。安全性の基準は上昇し、以前なら緩やかな見守りの対象であったような養護問題も、「ネグレクト」として一時保護等の措置がとられるようになっている。
3.その中で福祉司らが問題と感じているのが、介入が強化される一方で、親の援助のための法制度や社会制度が不足していることである。最近の親が抱える問題は、不遇な生活環境や貧困などの社会経済的な悪条件によって引き起こされていることもあり、相談援助やカウンセリングなどの個別的援助だけでは限界があると彼らは感じている。しかし一般的な貧困対策や就業支援といったマクロな社会政策が虐待対応に接合される見込みは少ないという。援助オプションが限られており、援助過程を統制する法制度もない中で親子の再統合までを期待されることに、福祉司はしばしば過大な重圧を感じている。
4.児童福祉司たちが感じる矛盾や葛藤から、日本の制度が、子育ての援助という視点を十分に発展させないままに虐待定義を拡大させてきたという問題を抱えていることを認識することができた。今後は、本調査を踏まえ、子どもの安全確保と子育ての援助(を通じた親子関係の維持)という二つの課題を統合する児童福祉・家族法政策の可能性について検討を進めていくことにしたい。


 

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