光機能性生体分子によるアポトーシスの誘導と癌治療への応用


研究課題名 光機能性生体分子によるアポトーシスの誘導と癌治療への応用
レコードタイプ 研究実績報告
報告年度 2005
研究期間 2003-2005
研究課題番号 15710161
研究代表者 遠藤 政幸  (エンドウ マサユキ) 大阪大学・産業科学研究所・特任助教授
研究代表者番号 70335389
研究機関 大阪大学 研究機関番号:14401
研究種目 若手研究(B) 研究種目コード:260
研究分野[3] 生物分子科学 研究分野コード:2401
キーワード アポトーシス / カスパーゼ-3 / 光化学 / 非天然アミノ酸 / 細胞外翻訳反応 / 細胞導入 / 癌治療
研究概要 アポトーシス(プログラムされた細胞死)の誘導による癌細胞の除去を目的とし、最終段階で働くプロテアーゼであるcaspase-3を光機能化し、その活性を光照射によって制御すること方法の確立を行った。Caspase-3はアポトーシスシグナル伝達の上流にあるプロテアーゼcaspase-8による特異的な切断(セリン176残基)により活性化されたため、この特異的な切断位置に光分解性の2-nitrophenylglycine(Npg)をペプチド主鎖に導入し光化学反応により活性の発現を試みた。
ヒトcaspase-3のS176への位置特異的なNpg基の導入は、4塩基コドンと細胞外翻訳反応によって行った。Npgを導入したcaspase-3を用いて、光照射(366nm、0℃)を行い、基質であるDEVD(Asp-Glu-Val-Asp)の分解[(DEVD)2-rhodamine110で測定]を用いて活性を見た。光照射前(0min)では活性は見られないが、1分間の光照射で酵素活性の回復が見られた。caspase-3阻害剤(DEVD-CHO)の添加によってその活性が抑制されたことからこれらの活性がcaspase-3に由来することが確認された。次にcaspase-3の持つ自己切断と活性化の抑制について検討した。天然型では時間に依存して徐々に活性が増加するが、Npg-caspase-3では自己活性化は抑制され、光照射によって天然型と同様の自己活性化能を回復することが明らかとなった。このことから、Npgの位置選択的な導入によって、caspase-3の活性の制御が可能であることが明らかとなった。この結果、細胞内への光機能性caspase-3が導入と光照射によって、アポトーシスの誘導が可能性となると考えられる。これらの光機能化したcaspase-3を細胞に侵入可能にするため、HIV(ヒト免疫不全ウィルス)のTAT配列(YGRKKRRQRRR)をNまたはC末端に導入した光機能性caspase-3を上記と同じ方法で合成した。Npg導入によるcaspase-3活性の抑制及び光照射による活性化は、TAT配列を導入していないものと同様に制御できることが明らかとなった。これらの合成したTAT配列の導入されたNpg-caspase-3をヒトのT細胞(Jurkat T cell)内に効率よく取り込ませる実験と光照射によるアポトーシスの誘導を行うことができる環境が現在までの研究で整った。
発表文献 M.Endo, N.C.Seeman, T.Majima:   "DNA Tube Structures Controlled by Four-Way Branched DNA Connector"  Angewante Chemie International Edition 44.  5074-5077  (2005)  
M.Endo.T.Shiroyama, M.Fujitsuka, T.Majjma:   "Four-Way Branched DNA-Porphyrin Conjugates for Construction of Four Double Helix DNA Assembled Structures"  The Journal of Organic Chemistry 70.  7468-7472  (2005)  
K.Nakayama, M.Endo, T.Majima:   "A Hydrophilic Azobenzene-Bearing Amino Acid for Photochemical Control of a Restriction Enzyme BamHI"  Bioconjugate Chemistry 16.  1360-1366  (2005)  
M.Endo, S.Uegaki, T.Majima:   "Programmable DNA translation system using cross-linked DNA mediators"  Chemical Communications.  3153-3155  (2005)  
M.Endo, T.Majima:   "Structural Arrangement of DNA Constrained by a Cross-Linker"  Organic & Biomolecular Chemistry 3.  3476-3478  (2005)  
M.Endo, H.Wang, M.Fujitsuka, T.Majima:   "Pyrene-Stacked Nanostructures Constructed in the Recombinant Tobacco Mosaic Virus Rod Scaffold"  Chemistry, A European Journal (印刷中).   (2006)  


 

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