酸性降下物の成分分析と森林生態系への影響評価


研究課題名 酸性降下物の成分分析と森林生態系への影響評価
レコードタイプ 研究実績報告
報告年度 1993
研究期間 1993-1993
研究課題番号 05858068
研究代表者 大河内 博  (オオコウチ ヒロシ) 神奈川大学・工学部・助手
研究代表者番号 00241117
研究機関 神奈川大学 研究機関番号:32702
研究種目 奨励研究(A) 研究種目コード:210
研究分野[2] 環境影響評価 研究分野コード:802
キーワード 森林枯死 / 酸性降下物 / 雨水 / 霧水 / 露水 / 酸性化機構 / 土壌 / 酸緩衝能
研究概要 1.成分分析…ろ過式採取器で1週間毎に採取した降水の年平均pHは4.92であり、横浜の降水(pH4.75)に比べて若干高かった。自動採取装置で採取した霧水(277試料)のpH範囲は2.89-6.23(平均値4.06)で、酸性度の極めて高い霧水(pH3.5以下)ではNO_3^-の比率が高く霧水の酸性化には硝酸の寄与が大きかった。また、霧水中にはギ酸(最高値53.8muM)、酢酸(最高値22.8muM)、アルデヒド(グリオキサ-ルが最大で42.8muM)が高濃度に含まれていることが分かった。露水の採取は、神奈川大学研究棟屋上で発砲スチロ-ル板に貼り付けたテフロンシ-ト(45cm×90cm、厚さ1mm)を夜間設置して行ったが、1993年(7、8月を除く)のpH範囲は3.23〜7.12(21試料)であった。露水ではS(IV)が高濃度であり、また、露水のNO_3^-/SO_4^<2->比は低い(平均値0.30)ので、露水の酸性化は主にSO_2の液相酸化によるものと推測された。
2.酸性降下物の標高分布…大山の南・南東斜面に沿って標高400mから山頂(標高1252m)まで林外雨、林内雨(スギ、モミ)合わせてバルク採取器を42個設置し、1ヵ月後に回収した。すべての主要イオン降下量は標高とともに減少したが、H^+、NH_4^+、NO_3^-、SO_4^<2->降下量は他の成分に比べて減少率が小さいことが明らかとなった。また、スギ、モミ樹冠からのK^+、Ca^<2+>の溶脱量は同程度であり、モミ樹冠ではNH_4^+、NO_3^-の吸収があることが分かった。
3.大山における物質収支…大山の南・南東斜面に沿って4月、7月、11月にそれぞれ約30試料土壌を採取した。土壌pHに季節変化はなかったが、水溶性成分のうちCa^<2+>、Mg^<2+>、NO_3^-の濃度増加が7月に大きいことが分かった。これは、大山の土壌カラムに0.02mM(NH_4)_2SO_4溶液を流して1〜4週間室温で放置後に、NO_3^-濃度の増加が見られたことから硝化によるものと考えられた。また、土壌カラムにpH3の酸溶液を流したところ、モミの立ち枯れが著しい標高900m〜1000mの土壌でA1の溶出が早いことから、この付近では土壌の酸緩衝能力が低いことが分かった。
発表文献 大河内 博: "丹沢山塊大山の土壌の酸性度と化学組成" 環境科学会誌. 6. 29-34 (1993)
大河内 博: "酸性雨のpHと環境への影響を調べる" 現代化学. 7月号. 53-57 (1993)


 

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